フランス南西部 三大都市会議

23日、トゥールーズの科学系ポール・サバティエ大学にて、オクシタニ州議長ドルガ氏、トゥールーズ市長、モデック氏、州商工会議所会頭のディ・クレシェンド氏などを迎えて、フランス南西部大都市会議が開催された。

フランス南西部の三大都市は、ボルドー、トゥールーズ、モンペリエ。先般の州の合併では、トゥールーズとモンペリエが同じオクシタニ州に含まれることになった。

 

Grand Sud-Ouest(大南西部)の名において、ボルドー地方も同じ州として統一すべきという声もあったが、巨大過ぎるとして採用されなかった経過がある。

 


 しかし、トゥールーズとボルドーは、国の指定する、いわゆる競争的クラスター「アエロスペースバレー」の指定領域に含まれており、航空宇宙産業のエコシステムを共有している関係にある。また、国の高速鉄道計画では、今年7月にパリ・ボルドー間が1時間短縮され、2時間で結ばれるが、2024年には、ボルドー・トゥールーズ間にもTGVが延伸され、ボルドー・トゥールーズ間が1時間、パリ・トゥールーズ間が3時間で結ばれる予定だ。今後、政治的な紆余曲折が予想されるものの、実現すれば、南西部の都市間の経済関係の深化にも大きく役立つことが期待される。

開会の挨拶では、モデック市長から、経済活性化策、都市交通、エネルギー問題と合わせ、社会的連帯の問題に危機感を持って取り組む必要があることを強調。一つには、メトロポールである三大都市内部での格差の問題、また、一つには、大都市とその周辺都市や農村部との格差の問題についてだ。後者については、前日に行われた全国市長会と大統領選候補者との面談会で、多くの地方都市から懸念が表明されたことを紹介。州政府と大都市がそれぞれの権限を使い、協力して問題解決にあたる決意を表明した。

基調講演では、Сercle stratégique des Entreprises d'Occitanie (オクシタニ州企業戦略サークル会長)のChristian Desmoulins 氏が「オクシタニ州及びアキテーヌ州(ボルドー地方含む)の経済成長の契機」と題して講演。

講演では、既存産業と新規産業の雇用創出のサイクルについての国際比較を提示。イギリスは、既存産業で雇用が失われる傾向にあるが、新規産業で雇用をカバー。ドイツは、新規産業のみならず、既存産業でも着実に雇用を創出。一旦東欧などの海外に流出した製造拠点を自動化などを進めて国内に戻すという戦略が成功していると評価。一方、フランスは、既存産業で雇用を失い、新規産業でも十分に雇用を創出できていないという状況にある。

また、オクシタニ州とアキテーヌ州の産業構造について、成熟過程にある航空産業では、中国を潜在的脅威として、中長期的に競争力を失わないための取り組みが必要と指摘。また、航空産業などとシナジーを生かしながら、IT関連産業で雇用を作り出す状況を作っていかなければいけないと強調した。例えば、世界の医療研究拠点としては、トゥールーズはまだまだ低い位置にいる。しかし、航空産業、組み込みシステムなどの既存の産業との連携で、E-Health分野において存在感を発揮できる可能性があるとした。
興味深かったのは、域内の中小企業の輸出を促進するために、まず、フランスにおいて公的調達などにおいて実績を作る機会を提供することの重要性に言及。EUも、市場主義一辺倒では問題があることに気づき、2014年の欧州指令で競争法関連の一定の改正を行ったと指摘していた。

また、パネルディスカッションでは、州議会副議長で、経済政策、研究開発及び高等教育担当のナディア・ペルフィーグ氏が、雇用創出のためには、海外に拠点が移転しにくい研究開発拠点などを誘致することを優先すべきとの考えを示した。
商工会議所会頭のディ・クレシェンド氏は、他国に比べて、フランスでは、中規模企業(ETI 従業員数250以上5000未満など)が少ないと指摘。中小企業に比べ支援策が大幅に少ないこと、また、税務上も不利な取り扱いを受けていることなどについて、改善策が必要との見方を示した。